読了目安:約9分
NISAを通じてS&P500を積み立てる人が増えています。しかし現在のS&P500は、AI関連企業への集中度が高まっています。AIの成長を信じることは良いとしても、AI株に資産を集中させることは果たして良いことなのでしょうか?人気投資系YouTuber・バフェット太郎氏と、本メディア監修者の中島宏明が対談形式で読み解きます。
この記事でわかること
- S&P500は「AIビッグ10」が約40%超を占める指数です
- 500社分散でも、実質的にはAI関連株への集中投資に近づいています
- AI技術自体が本物でも、株価への期待先行リスクは別問題です
- AI株が急落すれば、指数全体の下落も避けにくくなります
- S&P500を否定せず、コアに据えた上で備える発想が現実的です
本記事の対談者
本記事は、人気投資系YouTuber・バフェット太郎氏と、本メディア監修者・中島宏明による対談形式でお届けします。
バフェット太郎
INVESTMENT YOUTUBER
投資系YouTuber/著述家。米国株投資に特化した情報発信を行い、YouTube「バフェット太郎の投資チャンネル」は登録者数50万人を超える。著書に『投資の教室 人生を変えるマネーマシンのつくり方』(ダイヤモンド社)、累計20万部のロングセラー『バカでも稼げる「米国株」高配当投資』(ぱる出版)がある。米国の連続増配・高配当株を中心とした長期投資を提唱している。
S&P500は、本当に分散されているのか
中島 宏明新NISAをきっかけに、S&P500のインデックスファンドを積み立て始めた人は多いと思います。「米国を代表する500社に投資しているのだから、十分に分散されている」と考えている人も少なくありませんよね。
S&P500が長期投資の中心として優れた指数であることは間違いありません。ただし、「500社に投資しているから、均等に分散されている」と考えるのは正確ではありません。
S&P500は、企業の規模が大きいほど指数に占める割合も高くなる仕組みです。そのため、巨大企業の株価が上昇すると、指数全体に与える影響も大きくなります。
現在は、マグニフィセント・セブンに、ブロードコム、マイクロン、AMDを加えた「AIビッグ10」が、S&P500全体の40%超を占めています。ほかのAI関連銘柄まで含めると、S&P500の約45%がAI株ともいえる状況です。


【用語解説】マグニフィセント・セブンとは
アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、エヌビディア、テスラの米国大型テック7社を指す総称です。S&P500の中でも特に時価総額が大きく、指数への影響力が強い銘柄群です。



500社に投資していても、実際には資産のかなりの部分が一部のAI関連企業に集中しているわけですね。
そうです。S&P500は以前よりも、かなりAI色の強い指数へ変わっています。過去にS&P500を買った人と、現在S&P500を買う人では、同じ名称の指数でも、実質的に背負っているリスクが少し違うのです。
「AIが社会を変える」と「AI株が上がり続ける」は別



とはいえ、AIが今後の社会や産業を大きく変えることには、多くの人が異論を持たないと思います。
AIという技術そのものは、もうAIなしには戻れない不可逆ですし本物だと思います。企業の生産性を高め、新しいサービスを生み出し、私たちの働き方や生活を変える可能性があります。
しかし、優れた技術が存在することと、その関連株がどの価格で買っても利益をもたらすことは別です。
インターネットも社会を大きく変えました。それでも、ITバブル期に高値で株を買った投資家の中には、その後の急落で大きな損失を抱えた人がいました。鉄道、自動車、インターネットなど、社会を変えた技術の周辺では、期待が実際の利益よりも先に膨らむことがあります。AIでも同じことが起こる可能性は否定できません。



「AIが本物かどうか」ではなく、「その期待がすでに株価へどこまで織り込まれているか」を考える必要があると。
そのとおりです。良い会社であっても、あまりに高い価格で買えば、その後のリターンは低くなります。「良い会社」と「今、良い条件で買える株」は必ずしも同じではありません。
AIバブルが崩れたとき、指数全体も無傷ではいられない



AI関連株への期待が剥がれた場合、個別のAI株を持っていなくても影響を受けるのでしょうか。
S&P500の中でAI関連株の割合が大きくなっている以上、指数を保有している投資家も影響を受けます。
もちろん、AI関連株が下がったからといって、S&P500の500社すべてが同じように下落するとは限りません。景気や金利の状況によっては、生活必需品、ヘルスケア、エネルギーなど、別の業種へ資金が移る可能性もあります。
ただ、指数に占めるAI株の割合が大きいため、AI株が大幅に下がれば、S&P500全体の下落も避けにくくなります。以前と比べると、指数内部で値下がりを吸収する力、つまり分散効果が低下していると考えられます。





インデックス投資だから、特定のテーマとは無関係だと思っていた人にとっては、意外な話かもしれないですね。
インデックスも中身は変わります。昨日まで分散されていた指数が、値上がりした特定銘柄の比率が高まることで、いつの間にか集中した指数へ変わることもあります。
大切なのは、商品名だけを見て安心するのではなく、自分が実際には何へ投資しているのかを時々確認することです。
それでも、S&P500を全部売る必要はない



ここまで聞くと、「S&P500は危ないから売った方がいい」と考える人も出てきそうです。
その結論は極端です。私はS&P500を否定しているわけではありません。
米国には、世界をリードする企業、イノベーションを生み出す資本市場、株主を重視する企業文化があります。S&P500は今後も、多くの投資家にとってポートフォリオの核になり得ます。
問題は、S&P500を持つことではなく、「S&P500だけを持てば、あらゆる状況に対応できる」と思い込むことです。



米国株をやめるのではなく、米国株以外も持つということですね。
そうです。S&P500をコアとして保有しながら、AI株が下落したときに異なる動きをする可能性がある資産を組み合わせる。これが現実的な考え方です。
相場の天井を正確に当てて、暴落直前にすべて売却することは困難です。それよりも、予想が外れても資産形成を続けられるように、あらかじめ備えておく方が再現性があります。
後編では、AIバブルが崩れた場合に備え、一般の会社員や資産家がどのように資産を守ればよいのかを考えます。
投資に役立つ世界経済の大局感を非常にわかりやすく解説されているので、バフェット太郎さんのYoutubeもぜひご覧になってください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を行うものではありません。記事内の情報は執筆時点のものであり、最新の状況とは異なる場合があります。実際の投資判断や税務上の判断については、資格を有する税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。






