自社株保有者154人に聞いた「含み益」と「税金」の本音|資産管理会社の認知度も調査

自社株保有者154人アンケート調査結果のサマリーを示すインフォグラフィック

読了目安時間:約7分

勤務先または関係会社の株式(自社株・持株会・ストックオプション等)を保有する154人に独自調査を実施した結果、直近1年間で評価額が「増えた」と回答した人は57.8%に上りました。一方で、含み益が増えた人の27.3%は「使い道に悩む」、19.5%は「税金が心配」と回答しており、資産が増えても手放しでは喜べない実態が浮き彫りになっています。

半導体市況の追い風を受け、日本経済新聞は、キオクシアホールディングスの社員約600人が1人当たり10億円を超える株式資産を保有するに至ったと報じています(中央日報)。役員だけでなく一般社員にまで広くストックオプションが付与されたことが背景にあり、株価上昇によって思いがけない規模の資産を手にする役員・社員が増えていることを示す一例といえます。今回のアンケートは、まさにこうした自社株保有者を対象に実施したものです。

本記事では、税金・手取り額の理解度、資産管理会社や証券担保ローンの認知度、実際の相談先まで、自社株保有者の生の声を全項目にわたって公開します。

この記事でわかること

  • 評価額が「増えた」人は57.8%で、過半数が含み益を実感しています
  • 含み益増加後は「使い道に悩む」27.3%、「税金が心配」19.5%です
  • 税金・手取り額を「よくわかっていない」人は約2割います
  • 資産管理会社を「知らない」人は28.6%、証券担保ローンは35.7%です
  • 専門家に相談したい人は41.6%で、理由は「税金を抑えたい」が76.6%です
中島宏明

監修者

中島宏明

投資コラムニスト、経営者のゴーストライター(書籍、オウンドメディア、メルマガ、プレスリリース、社内報、スピーチ原稿、YouTubeシナリオ、論文…)

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年に一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。マイナビニュースで、投資・資産運用や新時代の働き方をテーマに連載中。

目次

調査概要|自社株・持株会・ストックオプション保有者154人を対象に実施

本調査は、勤務先または関係会社の株式(自社株・持株会・ストックオプション等)を保有する個人154名を対象に、評価額の変化・含み益への意識・税金の理解度・資産管理会社や証券担保ローンの認知度・相談先などについて実施したインターネット調査です。

項目内容
調査対象勤務先または関係会社の株式(自社株・持株会・ストックオプション等)を保有する個人
有効回答数154名
調査方法インターネット調査(スクリーニング調査により対象者を抽出)
調査項目評価額の変化・含み益への意識・売却時の対応・税金の理解度・資産管理会社と証券担保ローンの認知度・相談先・専門家への相談意向

表1:調査概要

直近1年で保有株の評価額は「増えた」人が57.8%

直近1年間で保有株式の評価額がどう変化したか尋ねたところ、「大きく増えた」16.2%、「やや増えた」41.6%を合わせて57.8%が増加を実感していると回答しました。「変わらない」は31.8%、「やや減った」「かなり減った」を合わせた減少実感層は6.5%にとどまります。

直近1年間の保有株式評価額の変化を示す円グラフ
図2:直近1年間の保有株式評価額の変化(N=154)
回答人数割合
大きく増えた25名16.2%
やや増えた64名41.6%
変わらない49名31.8%
やや減った6名3.9%
かなり減った4名2.6%
その他1名0.7%
答えたくない5名3.3%

表2:直近1年間の保有株式評価額の変化(N=154)

含み益が増えた人の27.3%が「使い道に悩む」、19.5%は「税金が心配」

評価額が増えた人にどのような心境の変化があったか尋ねたところ(複数回答)、「将来への安心感が増した」が30.5%で最多だったものの、「使い道に悩む」27.3%、「税金が心配」19.5%と、含み益をどう扱えばよいか迷う声が合わせて4割超を占めました。「特に変化なし」も38.3%と一定数存在します。

含み益が増えた人の心境の変化を示す横棒グラフ
図3:含み益が増えたことによる心境の変化(N=154、複数回答)
回答人数割合
将来への安心感が増した47名30.5%
使い道に悩む42名27.3%
税金が心配30名19.5%
その他1名0.7%
答えたくない3名1.9%
特に変化なし59名38.3%

表3:含み益増加後の心境の変化(N=154、複数回答)

保有株式について現在検討している対応を尋ねると、「保有継続」が55.8%で最多でした。「一部売却」は22.1%、「誰かに相談したい」は15.6%にとどまり、「何もしていない」も18.2%を占めています。含み益への迷いを抱えながらも、具体的な行動や相談に至っていない層が一定数存在することがうかがえます。

保有株式について現在検討している対応を示す横棒グラフ
図4:保有株式について現在検討している対応(N=154、複数回答)
回答人数割合
一部売却34名22.1%
保有継続86名55.8%
誰かに相談したい24名15.6%
あてはまるものはない4名2.6%
わからない2名1.3%
何もしていない28名18.2%

表4:保有株式について現在検討している対応(N=154、複数回答)

税金・手取り額への理解度は「よくわかっていない」人が約2割

保有株式を売却する際の税金や手取り額について、どの程度理解しているか尋ねたところ、「十分理解している」33.1%、「なんとなく理解している」45.5%に対し、「よくわかっていない」12.3%、「あてはまるものはない」9.1%と、合わせて約2割が理解不足を感じていることがわかりました。

【用語解説】自社株の売却益にかかる税金とは
従業員持株会や自社株の売却で得た利益(譲渡益)は、原則として株式等の譲渡所得として、他の所得と分離して課税されます。税制適格ストックオプションか否か、上場株式か非上場株式かによって課税関係が異なるため、具体的な税額は個別の制度・保有状況に応じた確認が必要です。

税金・手取り額への理解度を示す横棒グラフ
図5:税金・手取り額への理解度(N=154)
回答人数割合
十分理解している51名33.1%
なんとなく理解している70名45.5%
よくわかっていない19名12.3%
あてはまるものはない14名9.1%

表5:税金・手取り額への理解度(N=154)

従業員持株会の出口戦略はどう考えるべきか

「保有継続」が過半数を占める一方、資産集中のリスクや出口のタイミングをどう考えるかは別途の論点です。従業員持株会に入るべきかどうかの判断基準や、資産が集中しすぎるリスクを避けるための出口戦略については、以下の記事で詳しく解説しています。

「資産管理会社」を知らない人は28.6%、証券担保ローンは35.7%が未認知

含み益の活用方法として存在する2つの仕組みの認知度を調査したところ、「資産管理会社(プライベートカンパニー)」を「知らない」人は28.6%「証券担保ローン」など株式を売却せずに資金化する方法を「知らない」人は35.7%という結果になりました。いずれも「名前だけ知っている」層が最も多く、内容まで理解している人はまだ少数派です。

資産管理会社と証券担保ローンの認知度を比較する横棒グラフ
図6:資産管理会社・証券担保ローンの認知度(N=154)
認知度資産管理会社証券担保ローン
内容まで知っている26.6%17.5%
名前だけ知っている35.7%39.0%
知らない28.6%35.7%
あてはまるものはない9.1%7.8%

表6:資産管理会社・証券担保ローンの認知度(N=154)

資産管理会社は、役員報酬の分散や相続税評価の圧縮など、含み益が大きくなった株式の扱いに直結する選択肢のひとつです。制度の詳しい内容は、以下の記事で解説しています。

相談経験は「相談したことがない」が41.6%で最多

資産運用や税金についてこれまで誰かに相談したことがあるか尋ねたところ(複数回答)、証券会社34.4%・銀行19.5%・税理士13.6%と続く一方、「相談したことがない」が41.6%と全項目中最多という結果になりました。専門的な相談窓口としてのIFA(独立系金融アドバイザー)は9.1%にとどまっています。

資産運用・税金に関する相談経験を示す横棒グラフ
図7:資産運用・税金に関する相談経験(N=154、複数回答)
相談先人数割合
証券会社53名34.4%
銀行30名19.5%
税理士21名13.6%
FP・IFA14名9.1%
その他1名0.7%
あてはまるものはない11名7.1%
相談したことがない64名41.6%

表7:資産運用・税金に関する相談経験(N=154、複数回答)

専門家に相談したい人は41.6%、理由は「税金を抑えたい」76.6%

今後、含み益のある株式の活用方法について専門家に相談したいと思うか尋ねたところ、「そう思う」が41.6%と、「思わない」22.1%を大きく上回りました。相談したい理由(複数回答)としては、「税金を抑えたい」76.6%、「資産を分散したい」71.9%、「将来設計に活かしたい」48.4%の順に多く挙げられています。

専門家への相談意向と相談したい理由を示すグラフ
図8:専門家への相談意向(左)と相談したい理由(右、「そう思う」64名中)
相談意向人数割合
そう思う64名41.6%
どちらとも言えない56名36.4%
思わない34名22.1%

表8:専門家への相談意向(N=154)

相談したい理由人数割合
税金を抑えたい49名76.6%
資産を分散したい46名71.9%
将来設計に活かしたい31名48.4%
あてはまるものはない1名1.6%

表9:専門家に相談したい理由(相談意向「そう思う」64名中、複数回答)

「相談したい」と思いながらも実際の相談経験がない層が一定数存在することは、前章の「相談したことがない41.6%」という結果と合わせて読むと輪郭がはっきりします。思っていても動けていない層に、最初の一歩をどう提供するかが、資産が急増した人向けの情報発信における課題といえます。

まとめ|含み益は増えても、税金と相談先の準備が追いついていない

今回の調査から見えてきたのは、自社株の評価額が増えても、税金への理解や相談先の確保が追いついていない層が一定数存在するという実態です。含み益が増えた人の4割超が「使い道に悩む」「税金が心配」と回答する一方、資産管理会社を知らない人は28.6%、相談経験がない人は41.6%に上りました。

  • 評価額が「増えた」人は57.8%で、過半数が含み益を実感しています
  • 含み益増加後は「使い道に悩む」27.3%、「税金が心配」19.5%と回答しています
  • 税金・手取り額を「よくわかっていない」人は約2割存在します
  • 資産管理会社を「知らない」人は28.6%、証券担保ローンは35.7%が未認知です
  • 専門家に相談したい人は41.6%で、理由は「税金を抑えたい」が76.6%です

キオクシアの事例のように、株価上昇によって数億円・数十億円規模の評価額を手にする役員・社員は今後も増えていくと考えられます。こうして得た利益は、売却して終わりにするか、資産管理会社の活用や分散投資も含めて計画的に運用へつなげるかによって、10年後・20年後の資産規模が大きく変わってきます。含み益をどう資産運用に活かすかは、税金の知識だけでなく、中立的な立場からの助言も判断材料になります。

この記事の内容について、個別にご相談いただけます

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※本記事は独自アンケート調査(有効回答数154名、目標回収数未達)の結果に基づく情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を行うものではありません。記事内の情報は執筆時点のものであり、最新の状況とは異なる場合があります。実際の投資判断や税務上の判断については、資格を有する税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

2016年、証券会社にて富裕層・超富裕層向けの資産運用に従事。デリバティブを活用した投資戦略を中心に、資産規模に応じた最適な運用設計を提案。
2025年に独立後は、富裕層・超富裕層向けのプライベートオフィスを設立し、金融資産数億円〜数千億円規模の、上場企業オーナーから中小企業経営者含め幅広い顧客に対して、資産運用・財務・事業承継を一体で設計する支援を行っている。

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