プライベートバンクとは?仕組み・メリット・いくらから利用できるかを元PBが徹底解説

プライベートバンクの仕組みと富裕層向けサービスの全体像を示す図解

読了目安時間:約12分

プライベートバンクとは、純金融資産が数千万円〜数億円以上ある富裕層を対象に、資産管理・運用・相続・事業承継までを専任担当者が包括的にサポートする金融サービスです。国内では三菱UFJ・野村證券などのメガバンク系PB部門が数千万円台から、海外ではUBSなど欧州系プライベートバンクが数億円以上からを目安に口座開設を受け付けています。

この記事でわかること

  • プライベートバンクは資産管理・運用・相続を一括で任せられる富裕層向け金融サービスです
  • 国内は5,000万円台〜、海外は数億円〜が利用開始の目安です
  • 手数料は預かり資産の年率0.3〜2%程度で、金額が大きいほど負担も比例して増えます
  • プライベートバンカーは自社商品を売る立場のため、提案を鵜呑みにしないことが重要です
  • 国内PBと海外PBには対応領域・税務上の扱いに明確な違いがあります
中島宏明

監修者

中島宏明

投資コラムニスト、経営者のゴーストライター(書籍、オウンドメディア、メルマガ、プレスリリース、社内報、スピーチ原稿、YouTubeシナリオ、論文…)

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。2014年に一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。マイナビニュースで、投資・資産運用や新時代の働き方をテーマに連載中。

目次

プライベートバンクとは?定義と一般的な富裕層向けサービスとの違い

プライベートバンクとは、一定額以上の金融資産を持つ顧客だけを対象に、専任の担当者(プライベートバンカー)が資産管理・運用・相続・事業承継などを一元的に扱う金融サービスの形態です。一般的な銀行の窓口対応や証券会社の担当者制とは異なり、顧客ごとにオーダーメイドの資産戦略を組み立てる点が特徴です。

【用語解説】プライベートバンク(プライベートバンキング)とは
純金融資産が一定額(国内目安5,000万円台〜、海外目安数億円〜)を超える富裕層を対象に、資産管理・運用・税務相談・相続対策・事業承継まで専任担当者が包括的に対応する金融サービスの総称です。特定の銀行免許の名称ではなく、サービス形態を指す言葉です。

「プライベートバンク」という特別な業態の免許があるわけではなく、実際には銀行・証券会社・信託銀行などが、富裕層向け部門としてこのサービスを提供しています。三菱UFJ銀行・野村證券・大和証券などのメガバンク系グループがPB部門を持つほか、スイス系のUBSなど海外専業のプライベートバンクも日本の富裕層と取引しています。

一般的な富裕層向けサービスとの違い

証券会社や銀行が提供する「プレミアム」「プレスティア」などの上位会員サービスとの最大の違いは、対応範囲の広さです。一般的な富裕層向けサービスは資産運用の提案が中心ですが、プライベートバンクは弁護士・税理士などの外部専門家と連携し、相続・事業承継・海外資産の管理まで含めた包括的な資産戦略を扱います。

項目一般的な富裕層向けサービスプライベートバンク
対象資産額数百万円〜数千万円数千万円〜数億円以上
担当体制窓口・コールセンター中心専任プライベートバンカー
取扱商品投資信託・預金が中心仕組債・ヘッジファンド等も含む
相続・事業承継対応限定的、外部紹介が中心専門家ネットワークと連携し一体対応

表1:一般的な富裕層向けサービスとプライベートバンクの違い(2026年9月時点)

プライベートバンクの主なサービス内容

プライベートバンクが提供するサービスは、資産運用だけにとどまりません。資産全体を俯瞰した戦略設計から、日常的な資金管理、相続・事業承継対策まで幅広く対応します。

資産運用・ポートフォリオ management

株式・債券・投資信託に加え、仕組債・ヘッジファンド・プライベートエクイティなど、一般の証券口座では取り扱わない商品への投資機会を用意しています。顧客のリスク許容度に応じたポートフォリオを組成し、定期的なリバランスの機会を設けます。

相続・事業承継対策

資産管理会社の活用や生命保険の設計など、相続税・事業承継税制を踏まえた対策を、税理士・弁護士と連携しながら設計します。オーナー経営者の場合は自社株の承継スキームまで扱うケースもあります。

専門家ネットワークの活用

弁護士・税理士・公認会計士など外部専門家との連携体制が整っており、資産に関するあらゆる相談窓口を一本化できる点がプライベートバンクの強みです。海外資産・海外不動産の管理を専門家と連携して行うケースもあります。

もっとも、プライベートバンクは金融機関である以上、自社が扱わない商品や選択肢を提案することは構造上できません。一族の資産・事業・承継までを一元管理する仕組みとの違いは、下記の記事で整理しています。

プライベートバンクが提供する4つの主要サービスを示す図解
図2:プライベートバンクの主なサービス4分野

プライベートバンクはいくらから利用できる?国内と海外の違い

プライベートバンクを利用できる最低資産額は、国内は5,000万円台から、海外は数億円以上からが一般的な目安です。金融機関ごとに公表基準が異なり、非公開としている機関も少なくありません。

国内プライベートバンクの目安

国内のメガバンク・証券会社系PB部門は、純金融資産5,000万円〜1億円程度を一つの目安として案内するケースが多く見られます。ただし正式な最低ラインを公表していない金融機関も多く、実際の審査では資産額だけでなく取引実績や紹介の有無も考慮されます。

海外プライベートバンクの目安

スイス系・欧州系のプライベートバンクは、国内より高い水準を求める傾向があります。具体的な最低預入額は金融機関・時期によって変動し、情報源によって数千万円単位の差があるため、本記事では特定の金額を断定しません。口座開設を検討する場合は、各行の公式窓口で最新の基準を直接確認することをおすすめします。

スイスのクレディ・スイスは2023年にUBSに買収・統合されており、現在は独立したブランドとして存在しません。海外PBの情報を調べる際は、統合・再編の状況が反映された最新情報かどうかを必ず確認してください。

最低預入額の目安や手数料の実額、資産帯別の現実的な選択肢については、下記の記事で詳しく解説しています。

項目国内プライベートバンク海外プライベートバンク
最低資産額の目安5,000万円台〜1億円程度数億円以上(金融機関により差が大きい)
強み相続税・国内不動産への対応力海外資産の分散、外貨建て商品の選択肢
税務上の留意点国内税制と直結し分かりやすい国外財産調書等の申告義務が別途発生
言語・対応日本語での相談が基本英語対応が中心の機関が多い

表2:国内プライベートバンクと海外プライベートバンクの比較(2026年9月時点)

国内でプライベートバンクサービスを提供している主な金融機関

国内でプライベートバンクサービスを提供している主な金融機関は、メガバンク系・大手証券会社系・信託銀行系の3グループに大別されます。それぞれ得意領域や連携先の専門家ネットワークに違いがあります。

メガバンク系・証券会社系

三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行のメガバンク3行は、いずれも富裕層向けの専門部門を持ち、グループ内の証券会社・信託銀行と連携したサービスを提供しています。野村證券・大和証券・SMBC日興証券などの大手証券会社も、独自のプライベートバンキング部門を展開しています。

地方金融機関の富裕層ビジネス参入

近年は千葉銀行・静岡銀行など地方銀行も富裕層向けサービスを拡充する動きが見られます。ただし地方銀行のプライベートバンキング業務は、金融庁のモニタリングで販売姿勢が問題視された事例もあるため、提案内容を慎重に確認する姿勢が重要です。

信託銀行系

三菱UFJ信託銀行・みずほ信託銀行などの信託銀行系は、相続・事業承継に関する信託商品との親和性が高く、資産承継を重視する顧客に選ばれる傾向があります。信託の仕組みを活用した資産保全プランを組みやすい点が特徴です。

国内で実際にプライベートバンクサービスを提供している金融機関の一覧と、海外PBとの比較は、下記の記事でまとめています。

国内プライベートバンクの3つの提供主体グループを示す図解
図4:国内プライベートバンクの3つの提供主体グループ

プライベートバンクを利用する3つのメリット

プライベートバンクを利用する主なメリットは、オーダーメイドの資産戦略・専門家ネットワークへのアクセス・特殊な金融商品への投資機会の3点に整理できます。

①専任担当者によるオーダーメイドの資産戦略

プライベートバンカーが顧客ごとの資産構成・家族構成・将来計画を踏まえ、個別に資産戦略を設計します。一般的な窓口対応では得られない、長期的な視点での資産戦略を受けられる点が評価されています。

ただし各PBは運用実績の数値を公式には開示していません。利回りの捉え方や、実質リターンを左右する要因については、下記の記事で解説しています。

②弁護士・税理士など専門家ネットワークへのアクセス

相続や事業承継など、複数の専門家の連携が必要な場面で、プライベートバンクが窓口を一本化してくれます。個別に専門家を探す手間を省ける点は、経営者やオーナー層にとって実務的なメリットです。

③一般の証券口座では扱えない商品への投資機会

ヘッジファンドや私募の仕組債など、一般の個人投資家がアクセスしにくい商品を紹介してもらえる場合があります。ただしこれらの商品は流動性が低く、リスク特性の理解が前提になる点には注意が必要です。

プライベートバンクを利用する3つのメリットを示すアイコン付きリスト図
図3:プライベートバンク利用の3つのメリット

プライベートバンク利用時に押さえておきたい注意点

プライベートバンクを利用する際は、手数料の負担構造と、担当者が自社商品を販売する立場にあるという利益相反の可能性を理解しておくことが重要です。

手数料は預かり資産に対して年率で発生する

プライベートバンクの手数料体系は、資産残高に応じた資産基準手数料・固定報酬・売買手数料・成功報酬の主に4種類で構成され、資産基準手数料は年率0.3〜2%程度が一般的な水準とされています。資産額が大きいほど手数料の絶対額も大きくなるため、運用リターンとのバランスを継続的に確認する必要があります。

プライベートバンカーは「売る側」であることを理解する

プライベートバンカーの多くは自社・提携先の金融商品を販売することで収益を得ており、必ずしも顧客にとって最適な商品だけを提案するとは限りません。金融庁は2023年6月23日、仕組み債の不適切販売を理由にちばぎん証券・千葉銀行・武蔵野銀行に業務改善命令を出しており、複雑な金融商品の販売には構造的な注意が必要であることが公的にも指摘されています。

プライベートバンクで実際にどのような損失パターンが起きるかは、下記の関連記事で詳しく解説しています。

国内プライベートバンクと海外プライベートバンク、どちらを選ぶべきか

国内PBと海外PBのどちらを選ぶべきかは、資産の所在地・相続対策の要否・海外分散のニーズによって判断が分かれます。国内の相続税対策や国内不動産の管理を重視するなら国内PB、資産の国際分散や外貨建て商品の選択肢を重視するなら海外PBが適しています。国内とは異なり幅広いニーズに対応できるのが海外プライベートバンクのメリットでもあります。

どちらか一方に絞る必要はなく、国内PBで相続・税務対応を固めつつ、海外PBで運用の一部を分散させる「併用」を選ぶ富裕層も少なくありません。ただし海外資産を保有する場合は国外財産調書の提出義務など、追加の税務申告が発生する点を押さえておく必要があります。

そもそもプライベートバンク以外にIFA・FPといった相談先も存在します。報酬体系の違いや、富裕層が相談先を選ぶ際の判断基準は、下記の記事で比較しています。

プライベートバンクの提案、鵜呑みにしていませんか?

PBの担当者は自社商品の販売が仕事です。手数料構造や運用成績を、第三者の目で検証したことはありますか?

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プライベートバンクに関するよくある質問

Q. プライベートバンクは何歳から利用できますか?

A. 年齢制限は設けられていない金融機関が一般的です。資産額の基準を満たしていれば、事業承継直後の若年オーナーでも口座開設できるケースがあります。

Q. プライベートバンクの手数料はいつ発生しますか?

A. 資産基準手数料は残高に対して年率で継続的に発生し、これとは別に商品購入時の売買手数料や成功報酬が加わる場合があります。契約前に手数料体系の全体像を書面で確認することが重要です。

Q. 国内と海外のプライベートバンクを併用できますか?

A. 併用は可能です。国内PBで相続・税務対応を固め、海外PBで資産の一部を国際分散するという組み合わせは、富裕層の間で一般的な選択肢の一つです。

Q. プライベートバンクを解約したい場合はどうすればよいですか?

A. 契約している金融機関に解約手続きを申し出る形が基本です。仕組債など流動性の低い商品を保有している場合、解約時の資産整理に時間がかかることがあるため、事前に資産構成を確認しておくと安心です。

まとめ

  • プライベートバンクは資産管理・運用・相続を一括で任せられる富裕層向け金融サービスです
  • 国内は5,000万円台〜、海外は数億円〜が利用開始の目安です
  • 手数料は預かり資産の年率0.3〜2%程度で発生し、金額が大きいほど負担も増えます
  • プライベートバンカーは自社商品を売る立場のため、提案を鵜呑みにしないことが重要です
  • 国内PBと海外PBは併用も選択肢の一つで、資産の所在地・分散ニーズで判断します

この記事の内容について、個別にご相談いただけます

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を行うものではありません。 記事内の情報は執筆時点のものであり、最新の状況とは異なる場合があります。 実際の投資判断や税務上の判断については、資格を有する税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

2016年、証券会社にて富裕層・超富裕層向けの資産運用に従事。デリバティブを活用した投資戦略を中心に、資産規模に応じた最適な運用設計を提案。
2025年に独立後は、富裕層・超富裕層向けのプライベートオフィスを設立し、金融資産数億円〜数千億円規模の、上場企業オーナーから中小企業経営者含め幅広い顧客に対して、資産運用・財務・事業承継を一体で設計する支援を行っている。

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